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労災で療養中の労働者の解雇制限解除の対象範囲を広げた最高裁判決

労災で療養中の労働者の解雇制限解除の対象範囲を広げた最高裁判決は妥当か



 最高裁第二小法廷(鬼丸かおる裁判長)は、6月8日、専修大が、労災認定されて休職中だった職員を解雇した手続きの適否が争われた訴訟の判決で「病気やけがで休職中の労働者の療養費を、使用者でなく、国が労災保険で負担している場合も解雇できる」との判断を示した。

 これは、労働基準法81条(打切補償)「第75条の規定(業務災害の療養費は使用者が負担しなければならない)によって補償を受ける労働者が、療養開始後3年を経過してもなおらない場合においては、使用者は平均賃金の千二百日分の打切補償を行い、その後はこの法律の規定による補償を行わなくてもよい。」のこれまでの政府解釈を変更するものである。
 一審(東京地裁)、東京高裁も「解雇は違法・無効」との判決を下していた。

 メディアは今回の最高裁判決について「解雇可能な対象労働者を広げる判決」と報じている。これに対し、私と同業である社会保険労務士諸氏から「当然の判決」「基準法通り」「労災の給付で療養している労働者は、打切補償を払っても解雇できないなら、会社は上乗せ補償などあほらしくてしなくなる」との意見が聞かれる。

 私は、最高裁判決の全容を未だ読んでいないが、最高裁が、どういう論理構造で今回の判断を下したのか、地裁・高裁の判断をどのような論理で覆したのか、丹念に研究したいと思う。

 手元に高裁判決はないが、地裁判決(「S大学事件」東京地裁平成24年9月28日判決)は岐阜県社会保険労務士会の「労働判例研究会」のテーマで検討した。
 そのとき、認識を新たにしたことは、「療養の開始後3年を経過した日において傷病補償年金を受けている場合には、労基法81条の規定による打切補償を支払ったものとみなし、労基法19条1項本文の解雇制限は解除されるが、療養補償給付については前記解雇制限の解除は容認されない」という労基法及び労災保険法の解釈だった。
 東京地裁判決を子細に読むと、労災保険法制定の趣旨、改定の歴史とその趣旨など丁寧に検討され、労基法や労災保険法の関係条文解釈も、実に論理的なことに気付く。

 地裁判決の判示事項を「労働経済判例速報(平成25.2.28)」から抜粋してみる。
 ①労災保険の給付体系と労基法の補償体系は、使用者の補償責任の法理を共通の基盤としつつも、基本的には並行して機能する独立の制度であると解するのが相当。「労災保険給付を受けている労働者」と「労基法上の災害補償を受けている労働者」を軽々に同一視し、その法的取扱いを等しいとする必然性はない。
 ②労基法81条は、単に労基法19条1項本文の解雇制限を解除するための要件を定めるだけでなく、労基法19条1項本文違反の解雇を行った使用者を処罰するという公法的効力、すなわち処罰の範囲を画するための要件でもあるから、労基法81条にいう「第75条の規定(療養補償)によって補償を受ける労働者」の範囲は、原則として文理解釈によって決せられるべきである(罪刑法定主義)。
 ③労基法81条の打切り補償の趣旨は、療養給付を必要とする労災労働者の生活需要よりも、補償の長期化によって使用者の負担を軽減することに重点があり、その意味で、使用者の個別補償責任を規定する労基法上の災害補償の限界を示すものと解されるところ、労災保険制度は、使用者の災害補償責任(個別補償責任)を集団的に填補する責任保険的機能を有する制度であるから、使用者は、あくまで保険者たる政府に保険料を納付する義務を追っているだけであり、これを履行すれば足りるのであるから、「労災保険法第13条の規定(療養補償給付)によって療養の給付を受ける労働者」との関係では、当該使用者について補償の長期化による負担の軽減を考慮する必要はなく、労働基準法81条の規定の「第75条の規定(療養補償)によって補償を受ける労働者」とは、文字通り労基法75条の規定により療養補償を受けている労働者(労災保険の給付ではなく使用者の負担によっている)に限るものと解され、明文の規定もないのに、上記「(労基法)第75条の規定(療養補償)によって補償を受ける労働者」の範囲を拡張し、「労災保険法第13条の規定(療養補償給付)によって療養の給付を受ける労働者」と読み替える(注―「読み替える」ですよ)ことは許されない。
 ④労災保険法19条は、(1)療養の開始後3年を経過した日において傷病補償年金を受けている場合には、労基法81条の規定による打切補償を支払ったものとみなし、労基法19条1項本文の解雇制限は解除されるのに対し、療養補償給付について明文の規定を置いていないのは、労災保険法それ自体が療養補償給付を受給する労働者の使用者に対して労基法81条の打切り補償による解雇制限の解除を容認しない立場を採用しているからである。
 ⑤よって、原告労働者は、労基法81条の規定の「第75条の規定(療養補償)によって補償を受ける労働者」には該当せず、本件打切補償金の支払は、労基法19条ただし書き前段にいう「使用者が、第81条の規定によって打切補償を支払う場合」に該当しないこととなり、同項本文所定の解雇制限は解除されず、これに対する本件解雇は無効である。

 東京地裁判決は(高裁判決も同じだと推量される)実に丁寧でしっかりした検証と論理だと思う。最高裁判決はまだ読めていないが、この判示の一つ一つを(結論先にありきでなく)しっかりとした法理と論理で覆すのは、至難の業と思うのだが??

 つづきは、今回の最高裁判決を子細に読み、検討して意見を書きたいと思う。

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