岐阜県社会保険労務士会の通常総会の終了後、懇親会にも参加した。
同じテーブルになった方は、全員初対面の方だったが、
なかに、「労働判例研究会」を主宰している方がみえた。
その方は、6月の例会で「松下プラズマディスプレイ事件」について報告・解説すると話された。
この事件では、偽装請負という違法派遣状態にある労働者と企業との間に
(黙示の)労働契約の成立が認められるかどうかが争点となった。
1審の地裁は、労働者の訴えを棄却した。
2審控訴審の高裁では「黙示の労働契約」を認める画期的な逆転判決が出された。
そして、会社側が上告し、最高裁で争われ、(私の予想通り)、
2審高裁判決の取り消しを求める会社側の主張が認容され、再度の逆転判決となった。
私は、派遣労働者との間に「黙示の労働契約」を認めた2審判決の法理を高く評価しているが、
現在の労働者派遣法の条文とその制定過程を考えると、労働契約法理の巧みな組み立てによって
派遣労働者と派遣先との間に「黙示の労働契約」の成立を認めることには限界があると思っている。
労働者派遣法によって合法化された労働者派遣の規定からして、法解釈と法理の組み立てによって、
派遣労働者と派遣先企業との労働契約を成立させることは、きわめて困難だと思うのである。
どう考えても、「法解釈」による労働者の地位の保全(労働契約の成立)には
無理が生じると、私は考えざるを得ない。
(私は、もっとも不安定な雇用関係におかれている
派遣労働者のくらしや権利を擁護すべきだと考えるものだが)
労働者の地位と権利を守るためには、やはり
裁判官によって、どちらにも解釈できる規定ではなく、
労働者派遣法違反行為があったり、違法状態にあるときは、
派遣労働者と派遣先企業との間に、解釈の余地なく労働契約の成立を認める
明確な「みなし」規定の明文化が必要だと考える。
6月の「労働判例研究会」には、ぜひ参加したいと思っている。
同じテーブルには、72歳になる方がおられ、
「昨年の国家試験に、10回目の挑戦で合格し、社会保険労務士の資格を取得した」と自己紹介された。
私も含め、一同、びっくりするとともに、感心することしきりだった。
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