中小企業の経営と労働組合
中小企業家同友会例会での討論(2)
討論のなかで、ある社長さんが「労働組合の力も借りて、従業員同士のコミュニケーションが円滑になるようにするのが今年の我社の課題」と、発言されました。
即座に、「労働組合って、悪いイメージしかないですね」との反応がありました。
私は、最近、「中小企業の未来を拓く――労働組合の課題と解決法――」(労働総研中小企業問題研究会 編著)という本を読みました。
この本の中で、トラック運輸産業の建交労全国トラック部会副部会長が次のように述べておられます。
建交労では、日本経済の中心的役割を担う中小企業の経営者に対し、共同を呼びかける「共存・共闘」を労働組合運動の方針にかかげている。
その基本は、1975年に中小企業家同友会全国協議会から発表された「中小企業における労使関係の見解」などを生かし、職場において正常な労使関係を確立することである。
とくに個別の労使関係の確立はもとより、さらに発展した集団的労使関係の確立を重点においている。
この本では、ほかにも、金属産業の労働組合(JMIU)、建設産業の労働組合(これも全交労)の幹部が執筆しています。
私なりにその考えをまとめてみます。
①企業の社会的責任を果たしてほしい。(従業員を路頭に迷わせない)
②従業員を人間として尊重してほしい(モノのように使い捨てにしないでほしい)
③中小企業の経営を改善するための政策課題で共同の運動をすすめよう。
この考えは、中小企業家同友会が目標としている
①よい会社をつくろう。②よい経営者になろう。 ③良い経営環境をつくろう。
に見事に対応していると思います。
これは、社員満足度の高い会社にする(従業員の待遇を改善し、この会社のためにがんばろうというモチベーションを持てる会社にする)ことです。
すなわち人間尊重の経営をする(経営者になる)ことを、我が従業員をコストとみるのではなく、会社を発展させる頼りになるパートナーとして、協働して経営することです。
そして、この従業員のまとめ役を労働組合にお願いする――そのためには、未来工業の山田昭男さんが、自分の経営哲学として強調してみえる「性善説」、従業員をパートナーとして信頼できるかどうかがカギになると私は思います。
経営者には、ここに踏み出す勇気が必要ですが、労働者・労働組合にも、私の持論である「中小企業では、労働者と経営は運命共同体」=自社および地域と産業の発展(もうけを増やす)なしには、待遇の改善は不可能という認識に立った労働組合運動にしていくことが求められていると思います。
先に引用した本のなかでも次のような見解が述べられています。
中小企業で労働組合運動をすすめていくなかでは、労働者の要求で交渉するとき、よく「そんな要求を飲んだら会社がつぶれる」「つぶれなくても競争に負けてじり貧の会社になってしまう」という問題にぶつかる。
労働者のなかでも「あくまで要求を通せ」という意見と「会社がつぶれては、元も子もない」という意見に分かれる。
ここで、中小企業の労働組合の力量が試される。
労働組合は、会社の経営実態を正確につかみ、会社が発展するよう経営者と協働し、会社が発展すれば(もうけが増えれば)適切な分け前を要求することが大切です。
経営者も、会社が儲かったときは、従業員の協力なしには会社の経営はなりたたないのですから、もうけを適切に従業員に配分することが大切です。
こうすることは、必ず、従業員のモチベーションを高め、さらなる会社の発展につながると私は思います。
中小企業家同友会例会での討論(1)は →
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