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「これが最後、次回は更新しない」条項のある雇用契約に署名したため雇止めが認められた事件

「これが最後、次回は更新しない」条項のある雇用契約に署名したため雇止めが認められた事件
近畿コカ・コーラボトリング事件(大阪地裁 平17.1.13判決)



この記事は「労働判例2005.8.1-15(No.893)」を参照しています。

この事件の概要は次の通り。
被告会社は、原告労働者との期間の定めのある契約を繰り返し更新した後、いわゆるリストラに際し、原告労働者らに対し説明会を実施したうえで、原告労働者らに「次回は契約を更新しない」条項のある契約書を交付し、当該契約書に署名押印したうえ確認印まで押した原告を雇止めしたというものである。

原告は、本件雇止めについての説明会が行われた事実はなく、最後の契約更新に際して、被告会社から不更新条項の説明がなかったため、不更新条項の存在に気付かなかった、と主張。
ゆえに、本件雇止めは、解雇に関する法理が類推適用されるべきであり、本件雇止めには、合理的な理由がなく、無効であると主張した。

雇止め(期間の定めのある契約を更新しないこと)について、解雇に関する法理が類推適用されるか否かについて判断した先例は、有名な日立メディコ事件(最一小判昭61.12.4)である。

当該判決も、日立メディコ事件判決の判断枠組みに従っている。
すなわち、期間の定めのある契約を繰り返し更新した事実を認め、「原告らの業務内容の必要性、正社員の業務との類似性、継続年数と更新回数、更新手続きの実態、更新の際の意思確認の有無、過去における同種の社員の雇止めの有無という事実を考慮すると、期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態にあるとまではいえないまでも、雇用関係は、ある程度の継続が期待されていたというべきであり、雇止めによって雇用関係を終了するためには、解雇に関する法理が類推適用されるべきである」とした。

しかし、当該事案の最大の争点は、最後の契約更新時に「次回は契約を更新しない」合意が、被告会社と原告労働者の間にあったのかどうかにある。この事実認定が最大の争点だったと私は考える。
原告は、「不更新条項があることを知らなかった」と主張したが、署名押印があり、確認印まで押しているとして、この原告の主張は退けられた。裁判所は、傍証を丁寧に検討し、判断しており、好感が持てる。

判決は「原告らがかかる合意をしていたことにかんがみれば、本件契約書の作成後については、本件雇用契約について、その継続が期待されていたということはできないから、解雇に関する法理を類推適用する余地はなく、この点からも、本件雇用契約は、期間満了により終了していたというべきである」として、原告労働者らの訴えは棄却された。

評論の一つに、労働者は弱い立場にあり、「次回は更新しない」契約を迫られた労働者は、受け入れなければ、ただちに職を失うことを恐れ、少しでも長く働き続けるために不更新条項付きの契約を受け入れざるを得ないものであり、裁判官は、この点を考慮した判断をすべきである、という趣旨のものがあった。
私は、この評者の意見に共感する。それだけに、なぜ当該事件において、原告は、この点を主張せず(判決からは、この点を主張したことが私には読み取れない)、「不更新条項に気付かなかった」などと姑息な主張をしたのか、疑問が残る。


「大庄事件」―過労死認め、会社と取締役に7860万円の支払いを命じた判決 も ご覧ください。


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