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 岐阜県多治見市で事務所を開いている社会保険労務士の永江正道と申します。
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派遣労働者の再雇用拒否を解雇権濫用と判断した裁判

クーリング期間後に派遣会社が派遣労働者を再雇用しなかったことを
解雇権濫用と判断した裁判
――ラポール・サービス事件(一審名古屋地裁・二審名古屋高裁)



結論を先に言ってしまえば、Y派遣会社は、
派遣制限期間逃れのために、一審原告Xら40~50名の労働者を3か月だけ
クーリングオフ期間のため、専ら派遣先のA社の直接雇用とした後、
「クーリング期間の後は、再雇用し、引き続きA社で働いてもらう」という
説明に反し、Xだけを再雇用しなかった。

さらに、原告らがA社に雇用されていた間も、
Y社が通訳として雇用していたFが世話をし、
住居もY社が賃借していた従前のアパートを使用させていた。

裁判所が、Y社がXを再雇用しなかったのは、
解雇権の乱用であり無効と判決したのは、あまりにも当然の判断である。

Y社の主張は次のようなものであった。

A社が原告Xの派遣受け入れを拒否したため、Xに別の会社での就労を勧めたが、
Xがこれを拒否したため派遣先がなく、解雇した。

一審裁判所(名古屋地裁)は、次のように判示した。

Xが派遣先A社に直接雇用されたからと言って、
XとY社との雇用契約が解約された合意が
明示的にも、黙示的にも成立するとは言えない。

自社社員を他社に使用させる形態としては出向があり、
この場合、XとY社との雇用契約は維持されたまま、
XとA社との間にも雇用契約が成立する。
本件の場合、「出向」とみるのが当事者の合理的な意思であると解する。

雇用契約の合意解約が認められない以上、Y社がXを再雇用しなかったのは、
解雇の意思表示に他ならないというべきである。

派遣先A社が、Xの受け入れを拒否したというだけでは、
客観的に合理的な理由があるとは言えない。

Y社は、Xに他の会社での就業を勧めたというが、
就労場所や職務内容を具体的に特定したものと認められない。

本件解雇は、社会通念上相当として是認できず、
解雇権の濫用として、無効であり、
原告Xは、被告Y社に対し、労働契約上の権利を有する地位にあることを確認する。

Y社は控訴したが、二審名古屋高裁も、一審の判断を維持した。

「出向」と解するほかに、Xの労働契約上の地位を確認する論だてはできなかったのだろうか、
との疑問は残るが、裁判所の結論は当然の結論と思う。

本件は、派遣労働者と派遣会社との雇用契約が期間の定めのない契約であったために
解雇権濫用法理が適用されたが、登録型派遣、有期契約の場合は、どう判断されるだろうか。

登録型派遣というのは、究極の不安定雇用である。
いずれにせよ、労働者派遣法は、抜本的な改正が求められる。

関連記事 → 派遣労働者と派遣先の黙示の労働契約成否の判断基準(積水ハウス事件判決から)


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