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 岐阜県多治見市で事務所を開いている社会保険労務士の永江正道と申します。
 経営者も社員も笑顔あふれる会社づくりを全力でサポートしています。
 働く人が生きがいを持てる会社・社会をみなさんとごいっしょに築いていきたいと思います。


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過労死認め、会社と取締役に7860万円の支払いを命じた判決(大庄事件)

過労死認め、会社と取締役に7860万円の支払いを命じた判決
(大庄事件/京都地裁・大阪高裁)



労働判例研究会(岐阜県の社会保険労務士有志の会)7月例会では、
①大庄ほか事件(京都地裁平22.5.25判決)と
②近畿コカ・コーラボトリング事件(大阪地裁平17.1.13判決)を検討した。

テキストは①が「労働判例2010.12.1(N0.1011)」
②が「労働判例2005.8.1-15(No.893)」であった。

今回は、大庄ほか事件について書く。

本事件は会社側が大阪高裁に控訴し、平成23年5月25日会社側の控訴は棄却された。
両判決は、会社と被告取締役4名に対し、原告である過労死した労働者の父母に合わせて約7860万円を支払うよう命じた。

会社側は6月8日、上告し、最高裁で争われることになった。

被告会社は、「庄や」「やるき茶屋」「日本海庄や」等を全国展開している。
資本金861億余、従業員2800人余、年間売上高約750億円で、平成11年2月、東証一部に上場している取締役会設置会社である。

とにかく、労働実態がひどい。

過労死した労働者(以下A)の死因は、急性左心機能不全で、判決も俗名ポックリ病に当てはまるとしている。

Aの突然死は入社4ヶ月後に起きている。
その間の労働時間は、1か月300時間を超え、残業時間は、過労死ラインと言われる100時間を常時超えていた。
特別条項付きの三六協定が結ばれ、その時間外労働時間は1か月100時間となっていた。
被告会社は、高裁で「過労死ラインを超える労働時間、賃金体系をとるか否かは経営判断」と主張し、
「ワタミフードサービスの三六協定では120時間」という証拠を提出した。

過労死ラインを超えて何が悪い、大庄はまだ少ない方だ、と主張したのである(永江)。

私は、労基署は、過労死ラインを超えるような三六協定も、ノーチェックかと質問してみた。
「残業時間数は青天井」というのが関係者の答えだった。
特別条項付きの協定さえすれば、過労死ライン超えもへったくれもないらしい。
しかし、法は臨時の一時的な場合に限るとしている。
(行政が)その気になれば、チェックは可能だと私は思うのだが。(ただし、監督官の人数があまりに少ないという問題を解決しなければならない)

ひどいのは、その給与体系である。
大庄の給与は、新卒で、基本給12万3200円、役割給7万1300円で最低支給額は19万4500円である。
ところが、役割給の中身は残業手当で、残業時間が月80時間以内の場合は、残業の足りない分を役割給7万1300円から差し引くと言うのである。

計算してみると、この給与は最低賃金を下回っている可能性が高い(永江)。
基本給を月労働時間で割ると1時間当たり713円。
役割給(80時間分の割増賃金)を割増25%とするとやはり1時間当たり713円である。
しかし、終業時間は午後11時であり、その後の残業は深夜手当を付けなければならず、この場合、割増は50%増しとしなければならないはずである。

当該判決で私が画期的だと思うのは、次の点である。

1、発症前1か月の残業時間が100時間を超える、あるいは、2~6か月80時間を超える場合は、業務起因性を認めるという基準は、労災認定の基準ではあるが、安全配慮義務違反あるいは不法行為と死亡との因果関係を判断するにあたっても経験則として重視することができるとした点。

2、取締役は、会社に対する善管注意義務として、労働者の安全に配慮すべき義務を負い、労働者の生命・健康を損なうことがないような体制を構築すべき義務を負っているとして被告取締役に、会社法429条1項に基づく損害賠償責任を認めたことである。

京都地裁は、民法709条の不法行為上の責任までは認定しなかったが、大阪高裁判決では、民法709条の不法行為上の責任も認めた。

これは、過労死ラインを超えるような三六協定や、月80時間の残業を前提にした賃金体系などは、経営者には是正する責任があると警告した判決と言えのではないだろうか(永江)。

最後に、これは、研究会で教えていただいたことだが、本裁判の原告は、過労死した労働者の父母である。

Aの死亡については、大津労働基準監督署長は、業務災害と認め、Aの祖母に労災保険から、遺族補償年金年額約139万円、遺族特別支給金300万円等を支給する決定をしている。

なぜ、受取人が父母ではなくて、祖母なのかだが、それは、Aの父母の年齢が55歳以下だったからだと説明があった。

労災保険の遺族補償年金の受給資格者は、業務災害で死亡した労働者の配偶者、子、父母、孫、祖父母、及び兄弟姉妹であって、労働者の死亡の当時その収入によって生計を維持していたもの(労災保険法16条の2第1項、昭40法附則43条1項)である。

しかし、夫、父母又は祖父母については、55歳以上という年齢要件があるからである。

大庄事件判決については、ほかにも書いておきたいことが多くあるが何かの機会に、また検討してみたい。

次回は、有期雇用の雇止め問題での判決(近畿コカ・コーラボトリング事件)の労働判例研究会での検討内容をまとめるつもりです。 → 近畿コカ・コーラボトリング事件


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派遣労働者の再雇用拒否を解雇権濫用と判断した裁判

クーリング期間後に派遣会社が派遣労働者を再雇用しなかったことを
解雇権濫用と判断した裁判
――ラポール・サービス事件(一審名古屋地裁・二審名古屋高裁)



結論を先に言ってしまえば、Y派遣会社は、
派遣制限期間逃れのために、一審原告Xら40~50名の労働者を3か月だけ
クーリングオフ期間のため、専ら派遣先のA社の直接雇用とした後、
「クーリング期間の後は、再雇用し、引き続きA社で働いてもらう」という
説明に反し、Xだけを再雇用しなかった。

さらに、原告らがA社に雇用されていた間も、
Y社が通訳として雇用していたFが世話をし、
住居もY社が賃借していた従前のアパートを使用させていた。

裁判所が、Y社がXを再雇用しなかったのは、
解雇権の乱用であり無効と判決したのは、あまりにも当然の判断である。

Y社の主張は次のようなものであった。

A社が原告Xの派遣受け入れを拒否したため、Xに別の会社での就労を勧めたが、
Xがこれを拒否したため派遣先がなく、解雇した。

一審裁判所(名古屋地裁)は、次のように判示した。

Xが派遣先A社に直接雇用されたからと言って、
XとY社との雇用契約が解約された合意が
明示的にも、黙示的にも成立するとは言えない。

自社社員を他社に使用させる形態としては出向があり、
この場合、XとY社との雇用契約は維持されたまま、
XとA社との間にも雇用契約が成立する。
本件の場合、「出向」とみるのが当事者の合理的な意思であると解する。

雇用契約の合意解約が認められない以上、Y社がXを再雇用しなかったのは、
解雇の意思表示に他ならないというべきである。

派遣先A社が、Xの受け入れを拒否したというだけでは、
客観的に合理的な理由があるとは言えない。

Y社は、Xに他の会社での就業を勧めたというが、
就労場所や職務内容を具体的に特定したものと認められない。

本件解雇は、社会通念上相当として是認できず、
解雇権の濫用として、無効であり、
原告Xは、被告Y社に対し、労働契約上の権利を有する地位にあることを確認する。

Y社は控訴したが、二審名古屋高裁も、一審の判断を維持した。

「出向」と解するほかに、Xの労働契約上の地位を確認する論だてはできなかったのだろうか、
との疑問は残るが、裁判所の結論は当然の結論と思う。

本件は、派遣労働者と派遣会社との雇用契約が期間の定めのない契約であったために
解雇権濫用法理が適用されたが、登録型派遣、有期契約の場合は、どう判断されるだろうか。

登録型派遣というのは、究極の不安定雇用である。
いずれにせよ、労働者派遣法は、抜本的な改正が求められる。

関連記事 → 派遣労働者と派遣先の黙示の労働契約成否の判断基準(積水ハウス事件判決から)


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