外国人技能実習(研修)制度は、
改正入管法(出入国管理及び難民認定法)で飛躍的に改善されると思われます。
外国人技能実習生に対する「法的保護情報講習」の内容は、
日本の「出入国管理及び難民認定法」と「労働関係法令」によって
外国人技能実習生の人権と労働条件が保護されていることを説明することです。
入管法関係の講習内容
一、日本の入管法について
1、出入国管理行政
2、適法に在留するための基本知識
ここでは、旅券と外国人登録証明書は、技能実習生本人が保持しなければならないこと、
受入れ雇い主等が保管することは違法であること。
強制退去命令が出るケースの具体例などについて教えます。
二、日本の技能実習制度の内容
1、外国人研修・技能実習制度
日本の技能実習制度の目的は、国際貢献・国際協力=発展途上国の青年に、
進んだ日本の技術・技能を身につけてもらい、母国に帰って、
国の産業発展に役立ててもらうことだということを明確にします。
けっして、企業が安上がりの労働力として使うこものではないということを、
技能実習生本人に理解してもらいます。
2、新たな技能実習制度
外国人技能実習生は、日本の法律によって、その人権が保護されていること、
日本の労働者と同等以上の労働条件が保障されていること、等を伝えます。
3、受入れる監理団体(商工会議所・協同組合・企業等)の役割と義務
4、2段階の技能実習制度
今回の入管法の改正によって、「技能の習得」を次のシステムで保障します。
1年間の実習が経過し、2年目以降に進む(限度3年)ためには、
1年間の実習で、基本的な技能が身についたのかどうかが、ペーパーと実技でテストされます。
このテストでが合格点に達しなかった外国人技能実習生は、
帰国させられます(以後の在留が認められません)。
三、不正行為の内容と通報・相談窓口
次の行為は、不正行為であり、通報があれば、保護・是正されることを伝えます。
暴行・脅迫・監禁、旅券・外国人登録証明書の取上げ、手当(残業手当等)・賃金の不払い、
人権を著しく侵害する行為、保証金の徴収等、講習期間中の業務への従事、技能実習計画との齟齬、
監査・相談体制構築等の不履行、行方不明者の多発、不法就労者の雇用等、労働関係法令違反、etc。
そして、不正行為を受けた場合の通報先を伝えます。
入国管理局や労働局。JITCO(日本国際研修協力機構)でも
フリーダイヤルの母国語による相談体制をとっていること、
監理団体も外国人技能実習生のための「相談体制」を整備することが義務付けられていること等を伝えます。
労働法関係の講習内容
一、労働条件
1、入国前に、キチンとした雇用契約が文書で結ばれます。この雇用契約書なしには、
入国そのものが許可されません。
2、週40時間・一日8時間が法定労働時間であること、
これをこえるときは残業手当が払われることを明確にします。
3~5、労働基準法で定められた「休憩」「休日」「年次有給休暇」について
6、最低賃金法に定められた賃金額(外国人技能実習生も最賃額以上は保障されること)
7、労基法が定める時間外、休日及び深夜の割増賃金額
その他、就業規則で定められた以上の労働条件が技能実習生にも保障されていること等
(注)日本の労働基準法の内容がほぼ全面的に説明され、外国人技能実習生にも、
この最低基準が保障されることを教える内容になっています。
感想を言えば、これだけの内容を日本の労働者でも95%以上は知らない全面的な「権利教育」です。
日本の若者(例えば高校生や、就職前の青年)にも、この内容の労働教育をすれば、
労働者の自覚は飛躍的に向上すると確信できる内容です。
ぜひ、日本の若者への労働(権利)教育のシステムも構築したいと思いました。
二、安全衛生
1、どのようなケースで労働災害が発生しているか
2、労働災害を防止するために、雇用主は何をしなければならないか。
労働者(外国人技能実習生)は、どんなことに注意しなければならないか。
3、職業性疾病の防止
雇用主は、その従業員(技能実習生)に、健康診断を定期的に実施し、
その健康を確保しなければならないこと。
体の具合が悪くなったらどうするか(母国語の問診票があり、それを医師に診てもらう)等。
4、労災保険制度
外国人技能実習生も労災保険に加入しており、万が一、事故にあったときは、生活保障があること。
三、公的保険について
1、外国人技能実習生も、労災保険・雇用保険・
健康保険(ない場合は国民健康保険)・厚生年金(ない場合は国民年金)に加入する
(雇用主は、加入させなければならない)こと。
2、相談先一覧(電話番号等)
JITCO、地方入国管理局、在日大使館・領事館、都道府県労働局(外国人相談コーナーあり)、
税務署、市町村役場、年金機構、協会けんぽ。
外国人技能実習生の賃金は、ほぼ最低賃金法規定の額になるそうです。
そこで、最低賃金額は毎年改定されるので、それを上回る賃金になっているかどうかを
毎年確かめることにも注意をうながしてほしいとの話でした。
また、お金を稼ぐことを目的に「外国人技能実習生」として、日本に在留している人もあり、
「残業させてくれ」との希望(要求)が出されることも少ないないとのことです。
(それが月100時間をこえるようなこともある)。
しかし、日本の法律で禁じられていることをすれば、強制帰国という措置もありうるし、
外国人技能実習生本人にとっても、
「健康で、3年間、日本の法律を守って、技能を身につければ、
帰国して必ずそれを活かすことができること、
日本語も習得でき、活躍の分野が広がること」等を理解させてほしい、と話されました。
「外国人技能実習生の法的保護情報講習の講師養成セミナー」での、一連の講義は、
「法的保護」を実際に現実化し、
この「外国人技能実習制度」の本来の目的である「国際貢献・国際協力」として、
日本の品位を高めるモノにしたいという「思い」を、感じる内容でした。
例え、実際の賃金が最低賃金スレスレの額であたっとしても、
労働基準法がキチンと守られるなら(休日の保障や残業の割増賃金)
現実の日本の労働者の労働条件と同等以上の条件になるのではないかと思われます。
そして、技能を身につけ、日本語を習得して、母国に帰れば、
祖国でリーダーとして活躍できるのではないか、と思った次第です。
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