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「心の病」と日本の労働環境について考えた

 日本の労働環境、過労死、「心の病・うつ病」について考えた



 今日は11月23日「勤労感謝の日」です。元は、「新嘗祭」でしたが、マッカーサー率いるGHQがアメリカの感謝祭(Thanksgiving Day)を参考にLabor Thanksgiving Dayと命名したことから「勤労感謝の日」となったようです。

 この日、私は「過労死等防止対策推進シンポジウム」で勉強してきました。
  「過労死等防止対策推進法」(平成26年法律第百号)成立の歴史的意義を再認識しました。
  日本の労働環境の2大プロブレムは、長時間労働とハラスメントでしょう。
  「過労死等防止対策推進法」を出発点にして、ディーセントワークの日本社会をつくっていくために頑張りたいとあらためて思いました。

 印象に残ったことを箇条書きに記しておきます。

◇ 「うつ病」などメンタル問題は、日本だけでなく世界中で大きな問題になっている。その原因は、労働態様の変化である。資本主義の発達、技術の進歩によって、労働は肉体労働・筋肉労働から、精神労働・頭脳労働に変わった。この労働の搾取の激しさが、メンタルを蝕み、「うつ病」などの激増の根本原因である。

◇ 「うつ病」などの人をどうみるのか。「心の病」にり患した人を切り捨てる考えは誤った見方である。「心の病」に苦しむ人も健常者と同じ価値ある一個の人である。社会にとっても、企業にとっても。リンカーンもチャーチルも、オードリー・ヘップバーンも「うつ病」であった。「心の病」に苦しむ人には、「あなたは価値のない人間ではない。家族にとってだけでなく、社会にとっても、企業にとっても大事な価値ある人である。同じ苦しみを持ちながら、りっぱな業績をあげた人は世界にいっぱいいるからね」と励まし続けよう。

◇ うつ病り患社員の復職基準は、8割の回復(出勤時間に出社し、8時間労働し、疲労が回復できる睡眠がとれる状態)で、最低3か月、慎重には1年間、みてほしい。

◇ ドイツの自動車工場に出張した技術者が「日本の技術はすごいだろう」と自慢した。ドイツの労働者が言ったことは「日本の労働者は夜10時まで働いて、やっとドイツと同じ水準だよね。我々は週35時間労働で、立派に企業も国も運営しているよ」だった。

◇ 社員の自発的意欲を信頼して、残業もなく、「報連相」なしで、りっぱに黒字経営を続けている企業が日本にもある。岐阜にある未来工業です。未来工業では、年間休日145日、プラス有給20日間の休日がある。日本でもこうした人間的経営は可能です。(未来工業は、ディーセントワークのお手本となっている。岐阜県人の誇りだと思った…永江)。

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労災療養中の解雇制限解除の対象範囲を広げた最高裁判決―最高裁汚点残す―

労災療養中の解雇制限解除の対象範囲を広げた最高裁判決―最高裁汚点残す―



専修大学事件最高裁判決(第2小法廷・平成27年6月8日)「裁判要旨:労働者災害補償保険法に基づく療養補償給付を受ける労働者が,療養開始後3年を経過しても疾病等が治らない場合には,使用者は,当該労働者につき,労働基準法81条の打切補償を支払って,同法19条1項ただし書の適用を受けることができる」の全文を読んだ。
 当該事件の争点はただ一つである。すなわち「労働者災害補償保険法に基づく療養補償給付を受ける労働者が,療養開始後3年を経過しても疾病等が治らない場合には,使用者は,当該労働者につき,労働基準法81条の打切補償を支払って,同法19条1項ただし書の適用を受けることができるか否か」である。
 今回の最高裁判決は、1審(東京地裁)、2審(東京高裁)判決を覆し、「労基法19条ただし書の適用を受けることができる」とした。
 当事件の東京地裁判決(平成24年9月8日労経速No.2163)を読んで、私は「地裁判決は、条文の趣旨について、その制定の歴史から説き起こし、論理も緻密・具体的で合理性があり、最高裁がこの地裁の法理・論理を覆すのは至難の業」「最高裁判決が、先に結論ありきのズサンなものだったらガッカリ」とブログに書いた(27.6.11)。予想は的中した。
 今回の最高裁判決の内容は、地裁判決(高裁判決は、地裁判決の趣旨を全面的に肯定している)への反論は、何一つなされてなく、結論だけ「解雇は合法」とした判決である。

 最高裁判決の概要は以下である。
1、労災保険法に基づく保険給付の実質は,使用者の労働基準法上の災害補償義務を政府が保険給付の形式で行うものであると解するのが相当である(最高裁昭和50年(オ)第621号同52年10月25日第三小法廷判決・民集31巻6号836頁参照)。
2、労災保険法に基づく保険給付の実質及び労働基準法上の災害補償との関係等によれば,同法において使用者の義務とされている災害補償は,これに代わるものとしての労災保険法に基づく保険給付が行われている場合にはそれによって実質的に行われているものといえるので,使用者自らの負担により災害補償が行われている場合とこれに代わるものとしての同法に基づく保険給付が行われている場合とで,同項ただし書の適用の有無につき取扱いを異にすべきものとはいい難い。
また,後者の場合には打切補償として相当額の支払がされても傷害又は疾病が治るまでの間は労災保険法に基づき必要な療養補償給付がされることなども勘案すれば,これらの場合につき同項ただし書の適用の有無につき異なる取扱いがされなければ労働者の利益につきその保護を欠くことになるものともいい難い。
そうすると,労災保険法12条の8第1項1号の療養補償給付を受ける労働者は,解雇制限に関する労働基準法19条1項の適用に関しては,同項ただし書が打切補償の根拠規定として掲げる同法81条にいう同法75条の規定によって補償を受ける労働者に含まれるものとみるのが相当である。

 たった、これだけである。そしてこの判示は、すでに地裁・高裁判決が、大学側の主張は採用することができないとした内容を、「採用した」だけのもので、地裁・高裁の判示に対する反論は何一つないものである。
 一々書く気もしないが、前記最高裁判示1、2に対比して、当該最高裁判決判示を否定している高裁判決判示と地裁判決判示部分を示しておきます。
1、最高裁50年判決を引用しているが、こんなことを否定するものは誰もいない。労働基準法規定の使用者の災害補償義務と労災保険法に基づく保険給付の関係については、地裁判決も、「実際の機能面においては、労基法上の災害補償の責任保険的機能を果たしており(菅野和夫「労働法[第9版]377頁)、労災保険法に基づく保険給付は、労基法に規定する災害補償責任が生じた場合に行うものとされ(労災保険法12条の8第2項)、また、労基法に規定する災害補償の事由について労災保険法または命令で指定されるその他の法律に基づいて労基法上の災害補償に相当する給付が行われた場合には、使用者は労基法上の災害補償責任を免れるものとされた(労基法84条1項)」としている。

2、そのうえで高裁判決(平成25年7月10日)は、「労基法81条は、同法の『第75条の規定によって補償を受ける労働者』が療養開始後3年を経過しても負傷又は疾病が治らない場合において、打切補償を支払うことができる旨を定めており、労災保険法に基づく療養補償給付及び休業補償給付を受けている労働者については何ら触れられていない。また、労基法84条1項は、労災保険法に基づいて災害補償に相当する給付がなされるべきものである場合には、使用者はこの災害補償をする義務を免れるものとしているにとどまり、この場合に使用者が災害補償を行ったものとみなすなどとは規定していない。そうすると、労基法の文言上、労災保険法に基づく療養補償給付及び休業補償給付を受けている労働者が労基法81条所定の「第75条の規定によって補償を受けている労働者」に該当するものと解することは困難というほかはない。
 このように解すると、使用者は、療養開始後3年を経過しても負傷又は疾病が治らずに労働ができない労働者に対し、災害補償を行っている場合には打切補償を支払うことにより解雇することが可能となるが、労災保険法に基づく療養補償給付及び休業補償給付がなされている場合には打切補償の支払によって解雇することができないこととなる。しかし、労基法19条1項ただし書前段の打切補償の支払による解雇制限解除の趣旨は、療養が長期化した場合に使用者の災害補償の負担を軽減することにあると解されるので(〈証拠略〉)、このような差が設けられたことは合理的といえる。もっとも、労災保険法に基づく療養補償給付及び休業補償給付がなされている場合においても、雇用関係が継続する限り、使用者は社会保険料等を負担し続けなければならない。しかし、使用者の負担がこうした範囲にとどまる限りにおいては、症状が未だ固定せず回復する可能性がある労働者について解雇制限を解除せず、その職場への復帰の可能性を維持して労働者を保護する趣旨によるものと解されるのであって、使用者による社会保険料等の負担が不合理なものとはいえない。」(下線は筆者、以下同じ)と判示している。

3、地裁判決は、大学側の主張の一つ一つを子細に、かつ具体的に検討し、その主張を根拠のないものとして全面的に退けている。そのなかから三点の論点を示しておきたい。
 (1)大学側は、「『使用者に使用されて労働し、使用者がこれに対して賃金を支払う』(労契法6条)という労働契約の基本的な関係を維持することが社会通念上困難な状態にある場合には、本来、労基法81条の打切補償により解雇制限を解き、雇用契約関係を解消させるべきであるとの見解を前提としている」が、「傷病補償年金による補償の程度は年金という制度を採用することにより、療養補償給付等のそれよりも充実しているのであるから、『労基法の解雇制限との関係は従来のまま引き継ぐとの考えに立って』との立法方針が、単なる療養補償給付を受給している労働者の使用者についてまで及んでいたものと解するには十分な根拠資料の存在が必要であるが、本件全証拠を子細に検討しても、そのような資料(証拠)は何処にも見当たらない。」

(2)「(傷病補償年金を受給できる)一般に、障害の程度が傷病等級3級以上という状態として労働不能となる重篤な状態の労働者については、そもそも職場復帰の見込みがないに等しく、労基法19条1項本文の解雇制限に基づき雇用を維持する必要性が低いのに対し、障害の程度がそこまでの状態に至らない傷病等級の労働者については、なお職場復帰の可能性は大なり小なり残されているのが通常であろうから、その意味では労基法19条1項本文の解雇制限に基づき雇用を維持する必要性が高いものということができる」(傷病補償年金受給者にたいしては、打切り補償の支払いによって解雇制限を解除できると明記しているのに対し、療養給付受給者については解雇制限解除の規定がおかれていないのは、)「労災保険法それ自体が療養補償給付を受給する労働者の使用者に対して労基法81条の打切補償による上記の解雇制限の解除を容認しない立場を採用しているからにほかならないというべきである。」

(3)大学側の主張「打切補償によって解雇制限は解除される」(=最高裁の今回の判断)という「価値判断は、労基法19条1項本文の解雇制限の適用範囲を不当に狭めかねない危険性を有するものであって、業務上の疾病等により療養休業中の労働者の雇用関係や労災保険制度の運用等に禍根を残すおそれなしとはせず、当裁判所(地裁)としては、にわかに賛同し難い見解であると言わざるを得ない。」

 これまでの通説・政府解釈を覆し、明文にない解釈を採った今回の最高裁判決は、それが法解釈の最高権威である最高裁の判断であるだけになおさら「業務上の疾病等により療養休業中の労働者の雇用関係や労災保険制度の運用等に禍根を残」した罪深い判決として歴史に記録されるものであると言わなければならない。


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労働判例研究

労働判例研究会
1、「妊娠・出産等を理由の降格の効力と損害賠償請求」(広島中央保健生協(C生協病院)事件)
2、「期間雇用のカウンセラーの解雇は無効だが雇止めは有効とされた例」(X学園事件・さいたま地裁 平成26.4.22)



昨日は、岐阜県社会保険労務士会の労働判例研究会に参加してきました。取り上げた事案は、①「広島中央保健生協(C生協病院)事件」(最高裁一小 平成26.10.23判決)と②「X学園事件」(さいたま地裁 平成26.4.22)です。

 ①のテーマは、妊娠・出産等を理由の降格の効力と損害賠償請求です。マタハラがメディア等でも頻繁に取り上げられ社会問題となるなかで出されたこの最高裁判決をふまえ、厚生労働省は、いち早く「妊娠・出産、育児休業等を理由とする不利益取扱いに関する解釈通達」を出しました。

 この最高裁の判断に私は諸手をあげて賛成です。研究会で深められたことが1つあります。それは「妊娠・出産、育児休業等を「契機として」なされた不利益取扱いは、原則として法が禁止する妊娠・出産、育児休業等を「理由として」行った不利益取扱いと解される」のですが、労働基準法65条3項による「軽減業務への転換」中の職位の軽減(役職を免ずる措置)は、いかなる場合でも違法・無効ということではないということです。産前産後の休暇、あるいは育児休職後に原職に復帰することを明確に約束し、復帰の際にはきちんと元の職位に戻し原職に復帰させるのであれば、「軽減業務へ転換」に伴う一時的な職位の免除措置は有効だという点です。当たり前のことですが、研究会での論議でこの点を学ぶことができました。

②のテーマでも、2点気づきがありました。
1つは、この事案の特殊性です。この事案は、会社が契約期間の途中での解雇は無効だと労働者が、労働審判を申し立てた事案です。審決では、労働者側の主張が認められ、「解雇無効、144万円の賃金支払い」という審決が下され、会社は審決に従って144万円を支払います。この事案の特殊性は、審決が確定し、審決に従って会社が審決通り144万円を支払ったにもかかわらず、これを受け取った労働者が、訴訟を提起した点です。趣旨は「地位確認です」。労働審判の審決は、144万円の支払いを命じたものの、地位確認の審決は留保したため、労働者は訴訟を提起したのでした。この訴訟は、「労働審判の判断を…蒸し返すものではなく、訴権の濫用に当たるとはいえず」として受理されました。

判決は原告労働者の「地位確認」を求める請求を棄却しましたが、研究会の論議では、私には、すっきりしない研究課題が残りました。それは、労働審判では、申立人が申し立てた趣旨について、審決せず、支払額だけを審決することがあるのか、それは、どういう法的根拠に基づいているのか、ということです。和解なら、こういう事例は当たり前だと思うのですが。参考になる文献などありましたらご教授ください。

 第2は、期間の定めのある雇用の終了をめぐる判断には、3つの段階があるという点に気付いたことです。
 第1のケースは、契約期間満了前の解雇。これには通常の解雇が有効とされるよりハードな合理的な理由が必要です。
 第2にケースは、契約通り、期間満了により雇用関係が終了するケースです。
第3のケース。それは、「期間満了による雇止め」(=契約に基づく雇止め)は、①その雇止めが無期労働契約の解雇と社会通念上同視できるもの(最高裁「東芝柳町工場事件」の例)。②契約の満了時に労働者が更新されるものと期待することについて合理的な理由があるもの(最高裁「日立メディコ事件」の例)として、無効とされた場合に、通常の解雇としての合理的な理由があるものとして「期間満了による雇止め」が有効となるケースです。

岐阜県社労士会公認の「労働判例研究会」(県社労士会から若干の補助金が出ています)は、月一回開催されていますが、私には学びの多い会となっています。この回を献身的に主宰してくださっている方には、感謝!感謝!です。

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ブラック企業規制法案は法律のどの条文を改正するものか

日本共産党の「ブラック企業規制法案」は、労働法のどの法律のどの条項を改正しようとしているのか



日本共産党の「提案にあたって」と「改正要綱」
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日本共産党が改正を提案しているのは、次の条文です

1、長時間労働の是正
 ① 労働時間を正確に把握・記録し、職場から長時間・ただ働き残業をなくす仕組みをつくる。
  → (労働基準法の一部改正第108条関係) 

◆ 労働基準法
(昭和二十二年四月七日法律第四十九号)
最終改正:平成二四年六月二七日法律第四二号

(賃金台帳)
第百八条  使用者は、各事業場ごとに賃金台帳を調製し、賃金計算の基礎となる事項及び賃金の額その他厚生労働省令で定める事項を賃金支払の都度遅滞なく記入しなければならない。

※筆者感想
賃金台帳だけでなく、「使用者は、労働時間管理台帳を、各事業場ごとに調製し、都度遅滞なく記入し、労働者等(労働者の同意がある家族等も含む)が申し出たときは閲覧させなければならない」とでもするのでしょうか。

 ② 年間残業時間の上限を360時間にするとともに、「連続出勤」も制限する。
  → (労働基準法の一部改正第36条関係)

◆労働基準法
(時間外及び休日の労働)
第三十六条  使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定をし、これを行政官庁に届け出た場合においては、第三十二条から第三十二条の五まで若しくは第四十条の労働時間(以下この条において「労働時間」という。)又は前条の休日(以下この項において「休日」という。)に関する規定にかかわらず、その協定で定めるところによつて労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる。ただし、坑内労働その他厚生労働省令で定める健康上特に有害な業務の労働時間の延長は、一日について二時間を超えてはならない。
 2  厚生労働大臣は、労働時間の延長を適正なものとするため、前項の協定で定める労働時間の延長の限度、当該労働時間の延長に係る割増賃金の率その他の必要な事項について、労働者の福祉、時間外労働の動向その他の事情を考慮して基準を定めることができる。
 3  第一項の協定をする使用者及び労働組合又は労働者の過半数を代表する者は、当該協定で労働時間の延長を定めるに当たり、当該協定の内容が前項の基準に適合したものとなるようにしなければならない。
 4  行政官庁は、第二項の基準に関し、第一項の協定をする使用者及び労働組合又は労働者の過半数を代表する者に対し、必要な助言及び指導を行うことができる。

※筆者感想
労働基準法は、1週40時間、1日8時間労働制・週休制を原則としている。残業に割増賃金を支払うのは、この原則を破ったペナルティーの意味がある。しかし、現実は、この三六条により、労使協定を締結すれば、厚労省が労災判定の基準としている月100~80時間以上の残業も認められ労働時間は青天井となってしまう。労働基準法三六条による労使協定が、過酷な長時間労働を合法化する道具となっている。これを最大年間360時間(労働省告示「労基法第36条第1項の協定で定める労働時間の延長の限度に関する基準」)に制限しようとするもの。

次に、形式的には最大48日連続勤務も可能な4週をとおして4日の休日を与える規定も日本共産党の提案ではこの36条の改正で対応するとなっています。

労基法第35条は次のように規定しています。

(休日)
第三十五条  使用者は、労働者に対して、毎週少くとも一回の休日を与えなければならない。
 2  前項の規定は、四週間を通じ四日以上の休日を与える使用者については適用しない。

この第2項削除という提案でないのはなぜかな と思います。

③ 連続11時間の休息時間を保障する
 → (労働時間等の設定の改善に関する特別措置法の一部改正 2条関係)

◆労働時間等の設定の改善に関する特別措置法(平成四年法律第九十号)
 (事業主等の責務)
第二条 事業主は、その雇用する労働者の労働時間等の設定の改善を図るため、業務の繁閑に応じた労働者の始業及び終業の時刻の設定、年次有給休暇を取得しやすい環境の整備その他の必要な措置を講ずるように努めなければならない。
 2 事業主は、労働時間等の設定に当たっては、その雇用する労働者のうち、その心身の状況及びその労働時間等に関する実情に照らして、健康の保持に努める必要があると認められる労働者に対して、休暇の付与その他の必要な措置を講ずるように努めるほか、その雇用する労働者のうち、その子の養育又は家族の介護を行う労働者、単身赴任者(転任に伴い生計を一にする配偶者との別居を常況とする労働者その他これに類する労働者をいう。)、自ら職業に関する教育訓練を受ける労働者その他の特に配慮を必要とする労働者について、その事情を考慮してこれを行う等その改善に努めなければならない。
 3 事業主の団体は、その構成員である事業主の雇用する労働者の労働時間等の設定の改善に関し、必要な助言、協力その他の援助を行うように努めなければならない。
 4 事業主は、他の事業主との取引を行う場合において、当該他の事業主の講ずる労働時間等の設定の改善に関する措置の円滑な実施を阻害することとなる取引条件を付けない等取引上必要な配慮をするように努めなければならない。

※筆者感想
この法律は、「事業主の自主的努力を促進する」ことを目的としたものです。上記第2条をどう改正しようとしてるのかもつかみがたいというのが率直な感想です。日本共産党はなぜ、労働基準法に最低基準として例えば、第三二条(労働時間)に、「使用者は、就業から次の始業までのあいだに連続11時間の休息を保障しなければならない」とせず、「企業は、努力するものとします」との提案としたのか。中小企業等の実情に配慮したものかな。

労働基準法(労働時間)
第三十二条  使用者は、労働者に、休憩時間を除き一週間について四十時間を超えて、労働させてはならない。
 2  使用者は、一週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き一日について八時間を超えて、労働させてはならない。


④ 「サービス残業」が発覚したら残業代を2倍にする制度をつくる。
 → 同上特別措置法の一部改正 

◆第15条を新設

※筆者感想
労働基準法には、労働者が裁判に訴えた時に限り、あくどい違法の場合には、裁判所は使用者に、残業代と同額の付加金を支払わせる規定がある。

(付加金の支払)
第百十四条  裁判所は、第二十条(注=解雇予告手当)、第二十六条(注=使用者の責めに帰すべき休業手当)若しくは第三十七条(注=時間外労働・休日労働に対する割増賃金)の規定に違反した使用者又は第三十九条第七項(注=有給休暇)の規定による賃金を支払わなかつた使用者に対して、労働者の請求により、これらの規定により使用者が支払わなければならない金額についての未払金のほか、これと同一額の付加金の支払を命ずることができる。ただし、この請求は、違反のあつた時から二年以内にしなければならない。

この「倍返し」の提案は実現すれば、残業代不払いを根絶するうえで絶大な効果を持つ、「ブラック企業規制法案」の目玉といえる提案だと思う。実現すれば、残業をなくし雇用を増やす企業が増えるだろうし、労働者が不払い残業を告発するインセンティブとなる。
 けれど、これが同上「特別措置法」改正で対応する提案となったのはなぜだろう。

2、離職者数を公表し、就職情報・広告の適正化をはかる

① 離職者数を公表する
 → (職業安定法の一部改正 第41条関係)

◆職業安定法
(昭和二十二年十一月三十日法律第百四十一号)
最終改正:平成二四年八月一日法律第五三号

(許可の取消し等)
第四十一条  厚生労働大臣は、第三十六条第一項の許可を受けて労働者の募集を行う者又は同項の規定により労働者の募集に従事する者がこの法律若しくは労働者派遣法 (第三章第四節の規定を除く。次項において同じ。)の規定又はこれらの規定に基づく命令若しくは処分に違反したときは、同項の許可を取り消し、又は期間を定めて当該労働者の募集の業務の停止を命ずることができる。
 2  厚生労働大臣は、第三十六条第三項の届出をして労働者の募集を行う者又は同項の規定により労働者の募集に従事する者がこの法律若しくは労働者派遣法 の規定又はこれらの規定に基づく命令若しくは処分に違反したときは、当該労働者の募集の業務の廃止を命じ、又は期間を定めて当該労働者の募集の業務の停止を命ずることができる。

※筆者感想
これは、職業安定法41条関係の改正ではなく、5条の誤記ではないかと思う。下記第5条に、政府は「離職者数を公表し、就職情報・広告の適正化をはかる」との項を追加するのがいいのでは。

◆職業安定法
(政府の行う業務)
第五条  政府は、第一条の目的を達成するために、次に掲げる業務を行う。
一  労働力の需要供給の適正かつ円滑な調整を図ること。
二  失業者に対し、職業に就く機会を与えるために、必要な政策を樹立し、その実施に努めること。
三  求職者に対し、迅速に、その能力に適合する職業に就くことをあつせんするため、及び求人者に対し、その必要とする労働力を充足するために、無料の職業紹介事業を行うこと。
四  政府以外の者の行う職業紹介、労働者の募集、労働者供給事業又は労働者派遣法第二条第三号 に規定する労働者派遣事業及び建設労働者の雇用の改善等に関する法律 (昭和五十一年法律第三十三号。以下「建設労働法」という。)第二条第十項 に規定する建設業務労働者就業機会確保事業(以下「労働者派遣事業等」という。)を労働者及び公共の利益を増進するように、指導監督すること。
五  求職者に対し、必要な職業指導を行うこと。
六  個人、団体、学校又は関係行政庁の協力を得て、公共職業安定所の業務の運営の改善向上を図ること。
七  雇用保険法 (昭和四十九年法律第百十六号)の規定によつて、給付を受けるべき者について、職業紹介又は職業指導を行い、雇用保険制度の健全な運用を図ること。

② 休職者からの問い合わせに答える制度をつくる
 → (職業安定法の一部改正 第51条関係)

◆職業安定法
(秘密を守る義務等)
第五十一条  有料職業紹介事業者及びその代理人、使用人その他の従業者は、正当な理由なく、その業務上取り扱つたことについて知り得た人の秘密を漏らしてはならない。有料職業紹介事業者及びその代理人、使用人その他の従業者でなくなつた後においても、同様とする。
 2  有料職業紹介事業者及びその代理人、使用人その他の従業者は、前項の秘密のほか、その業務に関して知り得た個人情報その他厚生労働省令で定める者に関する情報を、みだりに他人に知らせてはならない。有料職業紹介事業者及びその代理人、使用人その他の従業者でなくなつた後においても、同様とする。

※筆者感想
上記の条項がハローワークなどが「企業の違法行為などへの問い合わせに答えない」原因となっているのでしょうか。しかし、この条は有料職業紹介事業者等民間事業者は、「秘密を守らなければならない」とする条です。これも正しくは、51条の3の誤りであると思われる。51条と51条の3は別の条です。

職業安定法
(相談及び援助)
第51条の3 公共職業安定所は、職業紹介、労働者の募集又は労働者供給に関する事項について、求職者等の相談に応じ、及び必要な助言その他の援助を行うことができる。

③ 賃金の内訳を明記させ、誇大広告、虚偽記載をやめさせる
 → (職業安定法の一部改正 第5条関係)

※筆者感想
共産党の「要綱」には5条関係の改正とあるが、これは、5条の3関係だと思われる。条文5条と条文5条の3は違う条項である。また、「誇大広告、虚偽記載をやめさせる」法改正は、第42条関係の改正となると思われる。

職業安定法
(労働条件等の明示)
第5条の3 公共職業安定所及び職業紹介事業者、労働者の募集を行う者及び募集受託者(第39条に規定する募集受託者をいう。)並びに労働者供給事業者(次条において「公共職業安定所等」という。)は、それぞれ、職業紹介、労働者の募集又は労働者供給に当たり、求職者、募集に応じて労働者になろうとする者又は供給される労働者に対し、その者が従事すべき業務の内容及び賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。
《追加》平11法085
2 求人者は求人の申込みに当たり公共職業安定所又は職業紹介事業者に対し、労働者供給を受けようとする者はあらかじめ労働者供給事業者に対し、それぞれ、求職者又は供給される労働者が従事すべき業務の内容及び賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。
《追加》平11法085
3 前2項の規定による明示は、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により行わなければならない。

職業安定法第5条の3に、「賃金の内訳を明記すること。また、誇大広告、虚偽の記載をしてはならない」旨を追加すれば、共産党提案の趣旨は法定されるのではないか。

労働基準法には、労働契約にあたって労働条件の明示義務があります。パート労働者にも当然明示しなければなりません。あまり改正事項を広げたり、規制を強化するするのは実現性を考えると考えものかもしれませんが、募集から労働契約、そして実際の労働条件と一連の流れがあります。整合性も考える必要があると思います。

(労働条件の明示)
第十五条  使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。
 2  前項の規定によつて明示された労働条件が事実と相違する場合においては、労働者は、即時に労働契約を解除することができる。
 3  前項の場合、就業のために住居を変更した労働者が、契約解除の日から十四日以内に帰郷する場合においては、使用者は、必要な旅費を負担しなければならない。

労働基準法の「労働契約を解除することができる」=企業を退職することができるという規定だけでは、労働条件明示義務を担保することはできないでしょう。実効性を持たせるには、「約束とちがう」労働条件に対しては、「倍返し」規定等かなりきついペナルティーを課す必要がある気がします。

(募集内容の的確な表示)
第42条 新聞、雑誌その他の刊行物に掲載する広告、文書の掲出又は頒布その他厚生労働省令で定める方法により労働者の募集を行う者は、労働者の適切な職業選択に資するため、第5条の3第1項の規定により当該募集に係る従事すべき業務の内容等を明示するに当たつては、当該募集に応じようとする労働者に誤解を生じさせることのないように平易な表現を用いる等その的確な表示に努めなければならない。

上記第42条に「誇大広告、虚偽の記載をしてはならない」旨を追加するのがいいのでは。

3 パワーハラスメントをやめさせる
 → (労働安全衛生法の一部改正 第71条関係)

◆労働安全衛生法
(昭和四十七年六月八日法律第五十七号)
最終改正:平成二三年六月二四日法律第七四号

(国の援助)
第七十一条  国は、労働者の健康の保持増進に関する措置の適切かつ有効な実施を図るため、必要な資料の提供、作業環境測定及び健康診断の実施の促進、事業場における健康教育等に関する指導員の確保及び資質の向上の促進その他の必要な援助に努めるものとする。
2  国は、前項の援助を行うに当たつては、中小企業者に対し、特別の配慮をするものとする。

※筆者感想
この「パワハラの防止」が立法措置がもっとも難しそう。セクハラについては、まがりなりにも男女雇用機会均等法に企業が防止措置をとることが法定されていますが、パワハラについてはまだ研究段階のようです。やはり、行政が相談窓口(機関)を設置し、パワハラをおこなった企業への行政の助言、指導、勧告、そして公表の措置を強めることからはじめるということでしょうか。

 逐条的に検討してきましたが、日本共産党の「ブラック企業規制法案」の提案は、必要最小限の対策を盛り込んだもののようです。「まず第一歩を踏み出しましょう」という感じです。基本的には、世論、労働組合等労働者の声によって、ブラック企業を包囲しようとする提案であり、同時に成立・実現すれば、労働環境は一変すると思われるポイントをついた提案だと思います。


日本共産党の「ブラック企業規制法案」についての私の感想的評価は
 → ブラック企業の目に余る横暴にストップをかける法案



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ブラック企業の横暴にストップを

ブラック企業の目に余る横暴にストップをかける法案



日本共産党が「ブラック企業規制法案」を今国会開会日に国会に提出した。先の参議院選挙で躍進して得た議案提案権をさっそく活用した。
日本共産党の説明を聞いて、これは安倍内閣が推し進めようとしている労働環境の悪化につながる労働法制の規制緩和へのカウンター法案といえるたいへんすぐれた提案(対案)だと思った。実現すれば、労働者とくに若者の労働条件・労働環境を改善するうえで絶大な効果を持つと思われる。緊急に必要な事項に的をしぼったわかりやすく非常にすぐれた提案だと思う。

日本共産党の「提案にあたって」および「法案要綱」は ← クリック

この提案は、けっして共産主義的・社会主義的な内容ではなく、あまりにもひどい現在の日本の労働環境を、せめてヨーロッパなどの先進資本主義国並みにまで改善しようとするものと思える。
改善提案もこれまでの政府が「努力義務」として法律・施行規則等に盛り込んできた内容だと思う。
考えてみれば、労働者が人間としての最低限の労働と生活を営むためには、あまりにも当然の、誰もが賛成できるものだ。日本共産党も提案のなかで、経営者にも議論に加わってほしいと呼びかけている。
 安倍内閣の「企業の競争力強化」優先の政策を選ぶのか、日本共産党のまじめに働く人が人間らしい生活を営むことができる政策を選ぶのか、国民的議論が巻き起こることを心から願っている。
 日本共産党が今回、提案した「ブラック企業規制法案」を一読して、いくつか質問したいことがありますが、それは次回に書きたいと思います。

つづきは 「日本共産党の「ブラック企業規制法案」は、労働法のどの法律のどの条項を改正しようとしているのか


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